栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
固定化ラクターゼの安定性
祐川 金次郎高橋 セツ子
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1975 年 28 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

乳糖不耐症者に対する牛乳・乳製品の利用を考慮して, Saccharomyces lactisおよびE. coli ML309の産生する乳糖分解酵素ラクターゼの不溶性担体への固定化による連続使用法の検討を行ない, つぎのような結果を得た。
1) DEAE-SephadexA-25およびporous glass beadsは, 担体g当たり酵素添加量20~40mgの範囲では, それぞれ約18~24, 3~6mgのラクターゼが固定化された。
2) 固定化ラクターゼのONPG基質に対する至適pHは, 遊離ラクターゼの場合とほとんど変らない。
3) Glassに固定化されたラクターゼの安定性はきわめて高く, 40日間室温に放置しても完全に活性が保たれていた。 また, Sephadex固定化ラクターゼを4%乳糖溶液と断続的に30日間カラム内で反応させても, 約50%の残存活性を示した。
4) 固定化ラクターゼの脱脂乳, ホエーに対する乳糖分解度は, 乳糖溶液に比較して低下する。 とくにSephadex固定化ラクターゼでは通液中に酵素が溶離する。
5) 固定化ラクターゼによる牛乳・乳製品中の乳糖分解の工業的応用にはなお検討を要する。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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