1975 年 28 巻 4 号 p. 191-194
食品原料としてのオキアミを, より良い状態で有効的に保存, 利用する目的でたん白質の溶失防止, および自己消化の防止について, 海水での煮熟処理との関連性を試験し, 次の結果が考えられた。
1) オキアミを沸騰している3%食塩水 (海水) 中で煮熟処理を行なうと, 数分間の処理で, たん白質の約80%が不溶性となり, 抽出されにくくなっていることが認められた。
2) 煮熟処理したオキアミから抽出されてくる画分のなかには, Sb-NとF-Nとの比較, Sephadex G-25によるゲル濾過パターンから, 分子の大きいたん白質は少なく, 低分子のペプチド, アミノ酸等が多く含まれていることが認められた。 したがって煮熟処理後凍結したものでは, 解凍する際にドリップ中へのたん白質の移行が大きく減少するものと考えられる。
3) 自己消化試験を行なったところ, たん白質の抽出率が約6%上昇し, F-Nの測定等から, たん白質が低分子のペプチドやアミノ酸に加水分解されていることがわかった。 また煮熟処理は, 自己消化の防止にも十分に役立った。
以上のことから, 船上における煮熟処理は, 凍結前の処理として良い方法であると考えられる。