栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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ショ糖投与ラットの血清, 肝における脂質ならびにたん白質量の変動について
饒村 護篠原 力雄石黒 伊三雄
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1976 年 29 巻 7 号 p. 391-396

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抄録

脂肪を8%含む飼料にショ糖をカロリー比で0% (対照), 10% (S-10), 20% (S-20) および50% (S-50) となるようにデンプンと置換した飼料を12週間, Wistar系雄ラットに投与して体内代謝の変動を観察し, 次の結果を得た。
(1) 体重増加, 飼料摂取量ならびに飼料効率は, ショ糖摂取により軽度の低下傾向をみた。また, 肝および腎重量の体重に対する比率は, ショ糖摂取量に応じて増加する傾向にあったが, 両者とも有意差ではなかった。
(2) 血清ならびに肝の脂質量の変動は, リン脂質を除いて両者が逆の傾向にあった。すなわち, 血清中の総脂質は, ショ糖の各投与群とも対照群のそれに比べて, それぞれ28%, 34%, 38%の高値を示し, いずれも有意差が認められた (p<0.05)。このうち, コレステロールが最も高い上昇率を示し, S-10で36% (p<0.05), S-20で42% (p<0.01), S-50で55%の増加率であった。この際, エステル型および遊離型ともに増加していた。また, トリグリセリドは17~32%の増加傾向がみられた。一方, リン脂質量には変化が見られず, ショ糖添加により低下傾向を示した。これに対して肝の脂質量は, 総脂質量, 総コレステロール量, トリグリセリド量のいずれもショ糖添加により低下する傾向が認められた。しかし, 肝のリン脂質量には変化がなかった。
(3) 血清ならびに肝の総たん白量は, いずれのショ糖投与群においても軽度な上昇がみられた。血清たん白分画比では, A/G比の低下, α2-グロブリン比の上昇とβ-グロブリン画分の変動が認められた。
(4) いずれのショ糖投与群も空腹時血糖には差異がなかったが, 血清アミラーゼ活性は有意な上昇が認められた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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