栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
アミロメイズVIIデンプンの人工消化と幼若ラットの成長に及ぼす影響
綾野 雄幸古橋 樹雄渡辺 幸雄鈴木 徹高居 百合子岩尾 裕之
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1977 年 30 巻 2 号 p. 113-122

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抄録

高アミローストウモロコシデンプン (アミロメイズデンプン) が糖質源として, 栄養的にどのような特徴をもっているかを知る目的で, X線回折, 人工消化試験および幼若ラットによる動物飼育実験を行なった。
1) アミロメイズデンプンのX線回折像は, VIIデンプン (アミロース含量647%), Vデンプン (アミロース含量46.6%) ともB図形を示した。
2) アミロメイズデンプンのラット小腸磨砕抽出液による37℃, 24時間の人工消化試験で, その消化率はVIIデンプン28.8%, Vデンプン25.0%で, バレイショデンプン13.1%よりはわずかによかったが, 普通トウモロコシデンプン92.3%, モチトウモロコシデンプン91.7%よりは相当劣った。
3) アミロメイズVIIデンプン, 普通トウモロコシデンプンおよびモチトウモロコシデンプンを糖質源とした動物実験では, アミロメイズデンプン投与群は恒常な成長を示さず, ひどい下痢症状を呈し, 体重増加率, 飼料要求率およびたん白質効率は他の2群にくらべ, 非常に劣った。臓器は消化器官が増大し, とくに盲腸において顕著であった。また, 体脂肪の蓄積は悪く, 肝臓ならびに後腹壁脂肪の脂肪酸組成は他の2群との間ではいくらか相違を示した。
4) アミロメイズVIIデンプンを85%メタノールに2日間浸漬して洗浄したものを幼若ラットに投与したが, その成長度は未処理デンプンとほとんど変わらなかった。デンプンの見かけの消化吸収率は73.6%で, 未処理デンプン群の67.3%よりはよい傾向を示したが, 普通トウモロコシデンプン群の99.8%には及ぼなかった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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