栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
主流, 支流, 細流食品群について
ある集団における食物消費構造の多変量解析 (第1報)
飯泉 久子細見 弘竹崎 京子雨宮 武彦
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1977 年 30 巻 5 号 p. 259-266

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抄録

老年病の発症と進展に及ぼす食生活の影響を, 多変量的に解析する試みの一つとして, 食生活現象の客観的測度と考えられる 「食物」 摂取量から, 食物消費構造を把握することを意図した。
対象は, 神戸市に居住する老年病予防長期医学プロジェクトの昭和49年度メンバー95名である。
まず, 食品を24食品群に分類し, これに食習慣を示す4調査項目を加えた28項目について基礎的統計量すなわち, 各食品群の3日間平均摂取量のヒストグラム, 平均値, 標準偏差, 変動係数を求めた。
その結果, 食品群を集団での摂取状況から, 以下のように3群に分類した。
1) 主流食品群 (main food groups) : 変動係数が小さく, 正規型に近い分布を示すもの。
2) 支流食品群 (secondary food groups) : 変動係数が100%前後の値をとり, 指数型に近い分布を示すもの。
3) 細流食品群 (accessory food groups) : 変動係数が大きな値をとり, 摂取量の頻度が高いもの。
以上, 主流, 支流, 細流の3食品群は, 食物消費構造解析の定性的指標として用いることができると考えられる。 すなわち, 集団の食生活は, 主流食品群で, 個人の食生活は, 支流ならびに細流食品群で特徴づけられる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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