精製牛乳ラクトフェリンを用いて調製した兎抗血清により, 各泌乳期ごとの牛乳ラクトフェリン含量を測定した。さらに, 同一試料中の窒素分布ならびに鉄含量についても測定し, ラクトフェリン含量との相関性について検討したところ, 次の結果を得た。
1) 牛乳中のラクトフェリン含量は, 初乳 (n=14), 移行乳 (n=7), 常乳 (n=37), 末期乳 (n=2) において, それぞれ, 80.9±45.0, 54.0±21.7, 40.4±25.0, 445mg/100mlであった。
2) 牛乳の窒素分布は, 全窒素, カゼイン態窒素, 乳清たん白態窒素, 非たん白態窒素のいずれも, 初乳に多く, 移行乳で減少し, 常乳でほぼ一定となった後, 末期乳で再び増加する傾向を示した。 初乳と末期乳は, 乳清たん白態窒素の全窒素に占める割合が大きく, 互いに類似した窒素分布を示した。
3) 牛乳中の鉄含量は, 初乳 (n=14), 移行乳 (n=7), 常乳 (n=34), 末期乳 (n=2) でそれぞれ, 177±123, 92±43, 53±14, 73μg/100mlであった。
4) ラクトフェリン含量と乳清たん白態窒素との間に有意な相関性が認められた. また, ラクトフェリン含量と鉄含量との間には, 初乳と末期乳を除いた場合にはわずかに相関性が認められたが, 常乳のみでは, ラクトフェリン含量の多少にかかわらず, 鉄含量はほぼ一定の値を示した。
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