栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ラットにおける血清, 肝臓の脂質およびたん白質量におよぼすショ糖食の影響について
饒村 護篠原 力雄石黒 伊三雄
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1978 年 31 巻 1 号 p. 33-39

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抄録

初体重75~85gのWistar系雄ラットに, ショ糖をカロリー比で0% (対照), 10% (S-10), 20% (S-20) および50% (S-50) となるようにデンプンと置換した飼料を投与して3週間および6週間飼育し血清, 肝の脂質ならびにたん白質量の変動について検討し, 次の結果を得た。
1) 体重増加量はショ糖投与量に応じて高値を示した。肝および腎重量の体重に対する比率は6週間後において増加傾向がみられた。
2) 血清中の総脂質量は3週間飼育ではS-50群に28%の上昇 (p<0.05), 6週間飼育ではS-10, S-20, S-50群にそれぞれ19%, 22%, 51%の上昇 (p<0.01) がみられ有意差が認められた。トリグリセリド値に有意な上昇がみられたのは6週間飼育時のS-50群のみであった。血清総コレステロールは6週間飼育時に上昇傾向がみられたが, エステル型コレステロール値には変化なく, エステル型比の低下傾向がみられ, S-50群では有意差が認められた。リン脂質はショ糖投与量に応じて増加傾向を示し, 3週間ではS-50群, 6週間ではS-20およびS-50群にそれぞれ有意差が認められた。NEFAは軽度の低下傾向がみられたが有意なものではなかった。
3) 肝脂質成分では3週間飼育時にトリグリセリドはS-10群に, 総コレステロールはS-10群とS-20群にそれぞれ有意な上昇が認められた。これらの上昇はショ糖含有量の少ない飼料群のほうがかえって大きく, 血清脂質量の変動とは対応がみられなかった。また, 3週間後にみられた肝脂質量の上昇は一過性で, 6週間飼育では対照と差がないか逆に低下傾向を示した。
4) 血清中の総たん白質量は軽度な上昇がみられたが, 肝においては6週間飼育時には軽度な低下がみられた。血清たん白質分画比ではS-50群の6週間飼育時にα1-グロブリン比の増加 (p<0.01) が認められた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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