生体の防禦機構は補体系, 細胞免疫系, 免疫グロブリン系の三者の密接な作用によって個体保全に当たっていると考えられるので, 栄養と補体の関係をしらべ, 感染に対する抵抗性の機作を検討した。正常および低栄養状態のラット100匹を8週間飼育し血液学的, 生化学的, 肝臓の病理学的所見を明確にしたうえで, 細胞免疫系の指標としてツベルクリン反応を, 補体系の指標として補体溶血活性をとり, 相互の関連を検討した。
さらにこれらの状態にStaphylococcus aureusを感染させ, 感染時における両者の推移を観察し, 次の結果を得た。
重篤な低栄養状態においてはツベルクリン反応を指標とする細胞性免疫は消失し, それに対し補体価は低値ながらも維持されていた。
Staphylococcus aureusの感染に際しては, 低栄養状態で細胞性免疫が低下しているにもかかわらず, 補体価は上昇したが, ツベルクリン反応性の上昇は認められなかった。