栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
各種野菜残渣およびコンニャクマンナンによる食用赤色2号の毒性阻止効果ならびに塩混合組成の影響
永井 鞆江今村 裕一海老原 清桐山 修八
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1978 年 31 巻 2 号 p. 161-170

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抄録

ラットの半合成飼料に5%のアマランスを添加したときみられる成長抑制毒性に対して, 各種野菜残渣ならびにコンニャクマンナン (KM) をそれぞれ5%同時添加し, それらの毒性制御効果を比較した。用いた野菜残渣はごぼう, だいこん, にんじん, たけのこの4種から次のようにして調製した。
洗浄した新鮮野菜を水とともに摩砕し, 煮出したのち, エタノールでよく抽出後, 風乾, 粉砕した。
その結果, 次のような知見がえられた。
1) 精製半合成飼料にアマランスを5%添加して生じる激しい成長抑制に対して, 4種の野菜残渣をそれぞれ5%同時添加すると, いずれの場合にも成長抑制は完全に阻止された。
2) このとき, 野菜残渣の添加によって飼料効率も完全に基本飼料群の値まで回復した。
3) 水溶性KMのアマランス毒性阻止効果は野菜残渣よりやや低かった。
4) 野菜残渣の有効性は飼料中の必須栄養素 (本実験ではZn, Cu, Mn) レベルが必要量すれすれ, あるいは不足するような条件では一見増幅される。
5) 脱ミネラルしたごぼう純試料でも, 4) の条件ではこれらミネラルの出納を改善する傾向がみられた。
しかし, 全体としてミネラルの影響はわずかであり, 野菜残渣の有効性は別の機構によるものと考えられる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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