栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
市販食酢数種の化学組成について
金森 孝子小松 由貴子外海 泰秀中村 恵三金田 吉男慶田 雅洋
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1978 年 31 巻 5 号 p. 513-518

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抄録

1) 大阪府下で製造された食酢4検体 (No. 1~4, うちNo. 2, 4は米酢), 愛知県産1件 (No. 5), 鹿児島県産2件 (No. 6, 7, うちNo. 7は米酢), いずれも「醸造酢」と表示したものを試料として, 比重, エキス分, 酸度, 無機質, 窒素化合物および炭水化物 (糖) の分析を行ない, 得られた結果について比較考察した。なお, 鹿児島産のものは独特の酢がめ製法によるものである。
2) 大阪産米酢においては, 対応する酒精酢よりもエキス分はかなり高いことが知られた。これに対して鹿児島産酢ではエキス分は低いレベルにあった。
3) 総酸含量は, 愛知産酢が5%とやや高い値を示したほかはいずれも酢酸として4.2~4.55%の範囲であった。試料No. 5~7では総酸中不揮発酸が35%以上を占めていた。
4) 灰分は0.07~1%の範囲にあり, 高灰分の製品ではその中に含まれる食塩の比率の高いことが知られた金属組成でとくに多いのはナトリウムであって, 非食塩態ナトリウムも450~1,600ppm検出された。
5) 大阪産の米酢では対応する酒精酢の7倍以上の還元性単糖類 (グルコースおよびフルクトース) が検出された。両者の組成比はほぼ等量であった。GCとソモギイ法による結果はよく一致した。鹿児島産酢では糖は検出されなかった。
6) 窒素化合物は鹿児島産酢中に550~700ppmの高い値を示し, その他は150ppmであった。窒素の大部分は非たん白態であった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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