栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
食品の付着性と摂食時の口腔内停滞性
齲蝕誘発能を考慮して
松久保 隆石川 哲之真木 吉信高江洲 義矩北條 祥子
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1982 年 35 巻 3 号 p. 213-216

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抄録
食品の齲蝕誘発能は, 食品の齲蝕誘発病に与える基質としての性質と, その基質としての性質の作用時間とで評価することが, 可能であることを著者らは提唱してきた。本報では, 食品の物理的性状によって影響されると考えられる食品の作用時間としての性質を測定することをその目的とした。
食品の作用時間としての性質は, 摂取中の作用時間と嚥下後の作用時間とに分けられ, 前者は, 食品単位重量あたりの摂取時間で, 後者は, 食品の付着性を23種の食品について測定し, その結果から, 食品の物理的性状よりその齲蝕誘発能を評価する方法について次のような考察を得た。
1) 従来の報告で食品の作用時間としての性質が正しく評価されていない種類の食品についても, 食品の作用時間としての性質を二つに分けて行なう本研究方法によって, その評価が可能であることが明らかとなった。
2) 本研究方法は, 従来の方法と比較して簡単であり, 被験者間の個人差もみられない。
3) レオメーターによる食品の物理的性状の測定は, 齲蝕誘発能の評価のための指標として有用であることが, 示唆された。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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