神経理学療法学
Online ISSN : 2758-0458
症例報告
脊髄後索障害に乖離を認めたが、術後急性期に自立歩行を獲得した脊髄髄内腫瘍の1例
桑田 麻由子深田 亮但木 亮介髙瀬 慶太赤坂 朋世古矢 丈雄村田 淳
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2023 年 3 巻 1 号 p. 30-36

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抄録

目的:脊髄髄内腫瘍摘出術後に脊髄後索障害の乖離と視覚情報では代償が困難であった感覚性運動失調を認めた症例を経験した。

症例:第1頚髄髄内腫瘍手術例の58歳男性である。

経過:術後の神経学的所見では、両下肢の振動覚、表在感覚の重度鈍麻、しびれの神経脱落症状を認めた。母趾の位置覚は正常であり、後索障害に乖離を認めた。足趾手指試験が陽性で、歩行は視覚による足元の確認と両脚支持期の延長による歩行速度の低下を認めた。術後4日目、トレッドミル歩行を開始し、即時的に視覚による足元の確認と両脚支持期の延長が改善を示し、歩行速度の改善を認めた。

結果:術後15日目に自宅退院となった。自宅退院時の評価では脊髄後索障害は後遺し、足趾手指試験は陽性であったが、屋外移動は独歩で自立となった。

結語:脊髄後索機能障害に乖離を認めたことから、脊髄後索は機能的層構造を考慮し複数の検査で評価する必要がある。

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