2018 年 35 巻 3 号 p. 361-364
症例は46歳男性.家族歴では,父が球脊髄性筋萎縮症,父方祖父がParkinson病(Parkinson disease;PD)である.38歳時に左手の震えを自覚し,その後左手が使いにくくなった.左上肢の安静・姿勢時振戦と運動緩慢,左上下肢の筋強剛があり,若年性PDと診断した.四肢のジストニアは認めなかった.ドパミンアゴニストとzonisamideを中心に投薬していたが,顕著な効果はみられなかった.rotigotineとzonisamideを投与中の発症4年後(43歳時)から,痛みを伴う頸部の後屈(retrocollis)が出現し,経皮鎮痛消炎薬を必要とした.44歳時のMIBG心筋シンチグラフィでは軽度の集積低下を認めた.PDでは様々な姿勢異常が知られており,特に若年発症PDでは足に出現するジストニアの報告が多い.頭頸部では首下がりが多くretrocollisの出現は極めて少ない.痛みを含め,quality of life(QOL)に影響をおよぼす場合もあり,積極的に注意を払う必要がある.