抄録
目的:本研究では,人間ドック受診者に対して健康運動指導士が実施した個別運動指導が,約1年後の受診データに及ぼす効果を検討することを目的とした.
方法:当センターで人間ドックを受診し個別運動指導を利用した339名(運動指導あり群:55±10歳)および,個別運動指導を利用しなかった357名(運動指導なし群:54±7歳)を対象とした.個別運動指導の利用は任意とした.運動指導では,運動の具体的な実践方法の指導や運動継続へのアドバイスなどを行った.運動習慣・身体活動に関わる問診項目,行動変容ステージ,身体計測,血液検査を評価項目とし,運動指導を行った年および約1年後で後ろ向きに比較した.
結果:各検査項目を男女別に比較したが,有意な変化は認められなかった.一方で,運動指導あり群では運動に関する行動変容ステージについて,行動期に該当する者が有意に減少し,維持期に該当する者が有意に増加した(p<0.05).また,運動指導あり群において運動を定期的に行っていると回答した者が123名から132名へ増加した.
結論:人間ドック受診時における年1回のみの運動指導では検査項目の改善は認められなかった.一方で,人間ドック受診時に運動指導を受けた受診者では,指導前に比し運動習慣に関連した行動変容ステージが改善し,運動を実践している者が増加した.今後,さらに多くの項目を改善するために指導内容を検討する必要があると考えられた.