2018 年 35 巻 3 号 p. 356-360
症例は74歳の男性.4年の経過で四肢の感覚障害,歩行時のふらつきが徐々に進行していた.他院神経内科にて精査の結果,リンパ形質細胞性リンパ腫に伴う抗myelin–associated glycoprotein(MAG)抗体陽性ニューロパチーと診断され当院に紹介された.化学療法(R–CHOP療法)を1コース施行後,weekly rituximabを4コース施行された.R–CHOP開始2週間後から急激な四肢脱力が出現し,rituximab単独投与後も増悪し歩行不能となった.Rituximabを中止し,ステロイドパルス療法1コース,γグロブリン静注療法2コース施行し,代替治療開始から6か月後に再度独歩可能となるまで改善した.抗MAG抗体陽性ニューロパチーにおいてrituximabにより神経症状が悪化した症例の報告は散見されるが,本邦での報告は本症例が第1例である.神経症状悪化の病態の機序は明らかにされていないが,抗MAG抗体陽性ニューロパチーのrituximabによる治療を行う際に注意する必要がある.