2018 年 35 巻 5 号 p. 628-632
〔目的〕脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration;SCD)患者に対する短期集中バランストレーニング介入が患者のバランス機能に及ぼす効果についてBalance Evaluation Systems Test(BESTest)を用いて検討した.〔方法〕Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)歩行項目3点以下のSCD患者16名を対象とした.理学療法で1日2時間のバランストレーニング,作業療法または言語療法を1時間の計3時間を週5回実施する4週間の入院プログラムを実施し,入院1ヶ月前,プログラム開始時,プログラム終了時,退院1ヶ月後にSARA,BESTestを評価した.〔結果〕介入前後でBESTestの総得点,下位項目のsectionIII(予測的姿勢制御),sectionIV(反応的姿勢制御),sectionVI(歩行安定性),フォローアップで総得点,sectionIIIの得点が有意に改善していた.〔結論〕歩行可能なSCD患者では,BESTestを用いた評価により,課題となるバランス要素を抽出できた.またバランストレーニングの介入効果をBESTestの総得点,sectionIII,sectionIV,sectionVIで鋭敏に捉えられる可能性が示唆された.