日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
Helicobacter pylori感染胃炎に対する個別化治療の現状と課題
古田 隆久 山出 美穂子樋口 友洋
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2022 年 64 巻 7 号 p. 1307-1314

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抄録

H. pyloriの除菌療法の個別化療法には,抗菌薬の感受性試験に応じた抗菌薬の選択のみならず,薬物過敏症の状況に応じた薬物の選択,個々の症例の併用薬を考慮したレジメンの工夫等がある.一次除菌療法では,クラリスロマイシン(CAM)の感受性試験結果に応じてメトロニダゾール(MNZ)を活用することでの除菌率の向上が報告されている.三次除菌療法ではシタフロキサシン(STFX)を用いた除菌療法がよく行われている.ペニシリンアレルギーの症例ではCAMとMNZ,STFXとMNZの組み合わせが多い.但し,CAMやMNZは併用薬との薬物間相互作用が多く,注意が必要な薬物である.しかしながら,保険診療上はH. pyloriの除菌レジメン二次除菌まで固定されており,個別の対応をしにくいのが現状である.個々の症例に応じたレジメンが構築できるよう,制度の改善が望まれる.

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© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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