2019 年 36 巻 5 号 p. 601-605
Hybrid Assistive Limb医療用下肢タイプ(HAL®)による歩行運動療法を継続した筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の1例を報告する.症例は61歳女性.4点杖による介助歩行が可能で,座位・立位姿勢にて頸部と体幹の前屈を認めていた.Edaravoneの経静脈的投与と並行して,歩行能力の維持を目的として1クールあたり20分/日×9日を基本とするHAL®による歩行運動療法を開始した.1クール目の終了時には歩行機能が改善し,14~31日のインターバルをおきながら歩行運動療法を継続した.経過を通じて歩行機能は緩徐に低下したが,歩行運動療法の各クール終了時には歩行機能の改善が認められた.また,座位での頸部・体幹の前屈が一過性に改善した.HAL®による歩行運動療法を継続することにより,短期的ではあるが,歩行機能と体幹機能の改善が期待できることが示唆された.