2019 年 80 巻 4 号 p. 714-718
症例は55歳,女性.8年前に胃癌に対し幽門側胃切除術を施行後再発なく経過していたが,ふらつきを主訴に当科を受診した.血液検査で著明な貧血を認め,上部消化管内視鏡検査で吻合部口側に巨大な易出血性の腫瘤を認めた.貧血の原因である腫瘍の悪性が否定できないため残胃全摘術を施行した.切除標本は最大径80mm大の有茎性ポリープ状の病変で,病理組織学的にstomal polypoid hypertrophic gastritis(SPHG)であった.SPHGは一般的にイモ虫状広基性ポリープと表現される肉眼所見が特徴的であり,本症例のように巨大な有茎性ポリープの形状を呈することは非常に稀である.本症例は有茎性SPHGの報告例では9例目であり,ポリープ径としては最大である.また,SPHGは癌の発生母地となり得るため,癌の併存が否定できない場合は診断的治療として内視鏡的あるいは外科的切除を考慮する必要がある.