1997 年 7 巻 2 号 p. 117-121
国立療養支所南福岡病院では在宅酸素療法(以下HOT)患者を対象として在宅医療を実施している.慢性呼吸不全と肺癌のターミナル期の在宅患者家族について,死亡場所の選択,患者の意向にそった援助についての検討を行った.病院死は肺癌,間質性肺炎が多く,最後の入院理由は病状の進行における呼吸困難感などの苦痛の増強が多くを占めていたが,肺癌ではぎりぎりまで在宅が可能であった.在宅死例は家で看取ることになった理由として患者,家族の強い希望が多くを占めており,介護力も高かった.慢性呼吸不全の場合,急激な悪化が在宅死の一要因とも考えられた.訪問看護はターミナル期の患者にきめ細かな看護ケアを提供し,その家族の看取りに対しての援助を行ううえで重要な位置を占めている.