2024 年 41 巻 4 号 p. 697-701
発達性協調運動障害(developmental coordination disorder:DCD)は運動協調性や巧緻性の低下を代表とする神経発達障害の一つであり,日常生活だけでなく学校生活や就労に影響するため学童期からの早期介入が求められている.今回我々は,DCDを有する7歳~12歳の児童5例に仮想現実技術を用いた体性認知協調療法(somato–cognitive coordination therapy:SCCT)を実施した.SCCTではmediVR社製のmediVRカグラ®️を用い,自己身体の見えない仮想現実空間にて座位でのリーチング運動を提供し運動協調性を賦活した.その結果,片脚立位時間やタンデム歩行などのバランス機能の即時的改善と縄跳びや書字といった学校生活技能の改善を経験した.SCCTはDCDを有する児童の運動協調性の改善と学校生活への変化をもたらす可能性が示唆された.