2025 年 42 巻 5 号 p. 863-868
目的:眼科診療科を院内に持たない急性期病院における神経免疫疾患の治療における課題を特定するため,近隣眼科との診療連携状況の調査を行った.
対象と方法:2019年1月から2023年11月の間に,眼科から紹介された合計1,174例の症例が後ろ向きに調査され,そのうち1,089例を解析した.調査項目には,紹介元の医療機関,患者の主訴,臨床診断,発症から眼科受診までの日数,および眼科から病院受診までの日数などが含まれた.
結果:紹介患者の主訴で最も多かったのは複視(314例,28.8%)で,続いて視野障害(215例,19.7%),視力低下(169例,15.5%)であった.複視の原因とされた主な臨床診断は,脳神経麻痺(100例,31.8%,うち単麻痺97例,複数麻痺3例),重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)が17例(5.4%),脳血管障害が14例(4.5%)であった.視野障害の原因とされた主な臨床診断は脳血管障害が44例(20.5%)で,特発性視神経炎は3例(1.4%)であった.視力低下の原因とされた主な臨床診断は脳血管障害が34例(20.1%)であり,多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)・視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorder:NMOSD)・特発性視神経炎は8例(4.7%)であった.視力低下の症例は,視野障害の症例と比較して,発症から当院受診までの日数が有意に長かった(中央値で視力低下が7.0日に対し,視野障害は4.0日).発症14日以内の視力低下症例について,紹介元の眼科を年間紹介数で2群(3例以上/3例未満)に分けて検討したところ,紹介数が多い眼科群の方が,少ない眼科群に比べ,「当院への紹介日数の中央値が7日以内」である施設の割合が有意に高いことが示された(92.3% vs. 50.0%, p=0.035).
考察:神経免疫疾患の治療には眼科との緊密な連携が不可欠であり,特に視力低下を呈する症例に対しては,より重点的な対策が必要であると考えられた.