抄録
近年,人口が減少段階に転じつつある日本において,既存の集合住宅の有効活用は重要な課題である.住戸の空スペースを活用し,建物の構成を変化させることで,魅力的な住空間に再生する手法として,減築が有望視されている.減築とは,既存の建物に対して,切り取る,抜けをつくる,などの建物のボリュームを減らす改修を行うことにより,住環境を向上させる手法である.本稿で論じるような集合住宅の配置計画を対象とする場合,膨大な解空間から限られた時間で準最適解を得るために,進化的計算手法を用いた研究が多数実施され,有効性が検証されている.本稿では,減築による既存集合住宅の再生を対象とする点及び,最適化手法としてクラシファイアシステムを適用する点に特徴がある.クラシファイアシステムはルール強化型の学習システムであり,進化の結果として減築後の住宅形態を得るのみではなく,進化の過程で用いる減築ルールを得られるため,どのような経過で減築を行ったかを追跡することが可能である.そこで本稿では,構築したシミュレーションにより減築ルールを獲得し,考察を加えることによって,クラシファイアシステムの有効性を検証することを第一の目的とする.次に,獲得したルールを用いて実際に集合住宅の減築を行い,得られた形態を対象として考察を行うが,設定した評価指標を目的関数として遺伝的アルゴリズムを適用して得られた形態を比較対象とすることにより,評価指標を満足する形態を獲得可能なルールを得られたか否かの検証を行うことを第二の目的とする.