知能と情報
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意識と相関する神経活動(Neural Correlates of Consciousness)
マッキン ケネスジェームス
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2016 年 28 巻 2 号 p. 50

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抄録

人の意識の仕組みについては古くからいくつも仮説が提案されているが,ニューロイメージング技術(ポジトロン断層法:PET,機能的磁気共鳴画像法:fMRI,脳磁図法:MEG,等)の発展により,近年再び研究が活発に行われている.

意識は脳の機能により発現すると考える立場から,意識は志向性をもつ高次な脳の情報処理の一様式(苧坂 1997)と定義できる.特定の脳の活動のみが意識と相関を持つと仮定し,脳内の神経細胞の活動から意識を解明しようとする神経科学的アプローチがNeural Correlates of Consciousness(NCC:意識と相関する神経活動)である.つまり,NCCは,特定の意識的知覚を共同して引き起こすのに十分な,最小の神経メカニズム(Crick&Koch 1990)と定義できる.

しかし,意識そのものについても定義が難しい問題を抱えている.意識と無意識の関係に加え,意識の内容や,意識の状態に対応する複数の階層があると定義することができる.覚醒(arousal/vigilance)は,刺激の受け入れに対して準備ができた状態,アウェアネス(awareness)は,刺激を受け入れている状態,つまり知覚している状態であり注意に基づく刺激や反応への選択性がある状態,そして自己意識(self consciousness)は,注意の対象が自分の意識そのものである状態がある.自己意識は,自己に向かう再帰的(リカーシブな)意識と考えることができる.(苧坂 1997)

NCC の研究では,再現実験における刺激の操作性の良さから,特に視覚的意識(visual consciousness)が研究対象に選ばれることが多い.視覚的意識には,盲視(blind sight),両眼視野競争(binocular rivalry),視覚的注意(selective visual attention),半側空間無視(parietal neglect)等,いくつもの特徴がすでに見出されており,これら視覚意識のNCC を研究することにより,現象的意識(phenomenal consciousness)解明に繋がることが期待されている.

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© 2016 日本知能情報ファジィ学会
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