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ショートノート
ラッセルの円環モデルを導入したRNNを用いた情動推論・情動表現生成学習システム
辻本 拓也高橋 泰岳竹内 昇平前田 陽一郎
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2016 年 28 巻 4 号 p. 716-722

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抄録

近年,ペットロボットやサービスロボットといった,様々な場所で人とコミュニケーションをし,人を支援することを目的としたロボットが増加している.それに伴い,ヒトと円滑な意思疎通を図ることができるロボット技術が求められている.そこで筆者らは,人とロボットが情動を伴う行動を基に双方向コミュニケーションを図る「インタラクティブ情動コミュニケーション」(Interactive Emotion Communication : IEC)を提案してきた.IECは「情動認識」,「情動生成」,「情動表現」の3つのプロセスから構成されており,人とロボットが相互にインタラクティブな情動を伴う行動をコミュニケーションをすることによって,ロボットの対人親和性を高めることを目的とする.筆者らの以前の研究では,特に「情動認識」のプロセスに重点を置き,人間の身体動作特徴量をラバン理論を基に解析し,ファジィ推論によって基本心理尺度値を求め,ラッセルの円環モデルに適用することで情動を推論する「ファジィ情動推論システム」を提案してきた.しかし,「情動推論」のファジィルールや「情動表現」のプロセスは設計者の直感に基づいて設計し,また,これらは別々に構築してきた.そこで,本研究では通常のRNN(Recurrent Neural Network)にラッセルの円環モデルを導入し,「情動認識」と「情動表現」を同時に学習するモデルであるRNNRCM(Recurrent Neural Network with Russell's Circumplex Model)を提案する.これをIECのプロセスの「情動認識」,「情動表現」の部分に組み込むことで,ヒトの動作観察からの情動推論とロボットの情動表現を双方向に学習できる.実際にRNNRCMを用いた情動動作の学習・認識・生成実験を行い,本手法の有効性を確認する.

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© 2016 日本知能情報ファジィ学会
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