知能と情報
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原著論文
入力信頼度に基づくユーザの入力意思の有無を考慮したP300 speller 文字入力
吉川 大弘河合 康平高倉 健太郎古橋 武
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2016 年 28 巻 4 号 p. 764-773

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抄録
P300speller は,脳波から得られる事象関連電位の一種であるP300を特徴量に用い,ユーザの思考を読み取って文字入力を行うことができるBrain Computer Interface(BCI)の一つである.一般にP300 spellerにおいては,文字入力のON/OFF はユーザ以外の者が行うため,ユーザが文字入力を行いたい任意のタイミングで文字入力を行うことや,途中で休憩したい場合に文字入力を一旦止めることなど,システム非同期のコントロールはできない.そのため,介助者の助けを得なくても,ユーザの入力意思の有無によって,任意のタイミングで文字入力のON/OFF を自動で切り替えることが可能な,非同期の文字入力システムが求められている.このようなシステムとして,いくつかの先行研究が報告されている.しかし,これらのシステムの多くが,通常の事前学習に加えて,文字入力を行っていない状態の脳波の事前学習を必要としている.入力意思なし状態の判別精度を向上させるためには,様々な入力意思なしの状態を学習しておく必要がある.そこで本論文では,文字入力時の脳波を用いた通常の事前学習のみで,ユーザの入力意思の有無を判別する手法を提案する.判別性能評価実験の結果,入力意思なしの脳波を学習しない提案手法においても,先行研究と同等,もしくはそれ以上の文字入力性能と,低い誤判別率が得られることが確認できた.
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© 2016 日本知能情報ファジィ学会
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