2016 年 28 巻 5 号 p. 801-809
土木計画においては,経済性を中心にした社会システム計画に加えて,こころの健康を意図した研究領域が展開している.これらは,土木技術者のアイデンティティ形成と現実の都市計画・交通計画に期待される自律的市民意識の形成に大きな影響を与える.このため本研究では,土木計画をこころの計画論として構成するための深層心理分析を試みる.具体的には,知的情報処理を用いて,青年期のパーソナリティ理解を表現するバウムテスト評価システムを構築する.ここでは特に樹木画投影された深層心理情報の処理を,経験的知識に基づく推論構造を持つプロダクションシステムとして構成した.さらに,現実的な精神反応と内面状態の関係性をニューラルネットワーク(NN)で定式化して,推計可能なモデルを構成する.このような知的情報処理の臨床心理面での適用から,社会システムにおけるこころの問題解決の方向性を示す.