知能と情報
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原著論文
状態遷移確率に基づくマルコフ情動モデルを用いたインタラクティブ情動コミュニケーション
前田 陽一郎
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 30 巻 5 号 p. 682-690

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抄録

近年,エンタテインメントロボットやパーソナルロボットのような人間と接することを目的としたロボットが増えつつある.これによりロボットには人間とコミュニケーションで情報伝達をする能力が必要になってきている.コミュニケーションを円滑に行うための媒体としては,顔の表情や身振り手振りなどのノンバーバル(非言語)コミュニケーションが多く用いられる.

本研究では身体動作に着目し,ロボットと人間が情動を伴った身体動作で情報伝達を図る手法としてインタラクティブ情動コミュニケーション(Interactive Emotion Communication :IEC)を提案してきた.ここでは情動を伴った動作で双方向コミュニケーションを行い,人間の情動を増幅,抑制することでロボットの対人親和性を高めることを目標としている.これまでの研究では対人親和性を高めるために共感するだけでなく飽きられにくい情動行動反応モデルをもつことが必要であることがわかっている.

本論文ではマルコフ情動モデルを用いた情動生成についての一手法を提案する.インタラクションで好印象に感じる情動反応と認識した情動の内部状態を考慮に入れた状態遷移をモデル化することができるマルコフ情動モデルを使用し,人間が好印象で興味が持続するインタラクションを行う情動生成モデルを構築する.このモデルを搭載したロボットでインタラクション実験を行い,マルコフ情動モデルを用いることによりヒューマノイドロボットの対人親和性が向上することを確認した.

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© 2018 日本知能情報ファジィ学会
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