知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
Print ISSN : 1347-7986
ISSN-L : 1347-7986
原著論文
上半身動作を用いたロボットの回避方向意図の伝達
石川 友紀也末松 圭史大坪 正和吉田 香
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 30 巻 5 号 p. 709-716

詳細
抄録

本研究の目的は,ロボットの回避方向意図を人に伝達することで,人とロボットの円滑かつ自然な相互回避を実現することである.そこで,人が行っている回避方向意図の伝達手段の1つである上半身動作に着目し,ロボットに人の上半身動作を実装することを試みた.本研究では,人とロボットが建物の出入り口や廊下で出合い頭に出会う状況や,ロボットが下半身動作を行うことができない状況を想定している.ロボットが回避行動時に適切な上半身動作を実行することで,人に回避方向意図の伝達を行い,人を衝突しない方向へ能動的に誘導することのできるシステムの構築を目指す.本提案手法により,人とロボットの衝突のリスクが減少し,互いに回避行動を取るようにでき,互いの回避距離も最小限にすることができると考えられる.ここで,上半身動作がロボットの回避方向意図の伝達手段として有効か検証するため,SoftbankRobotics社のヒューマノイドロボットPepperを用い,上半身動作として両腕の位置と胸部の向きを動作要素とし,上半身動作掲示完了にかかる時間を考慮して上半身動作の大きさを変化させた3つの提示方法で被験者に掲示した.実験の結果回避方向意図と胸部が逆向きの上半身動作が回避方向意図の伝達方法として適していることが分かった.

著者関連情報
© 2018 日本知能情報ファジィ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top