2019 年 31 巻 4 号 p. 754-763
本研究の目的は,高齢者のプロダクティブ・アクティビティに関連する要因を多重応答分析により検証することである.青森県八戸市に居住する70歳以上の高齢者を調査対象として,対面による自記式質問紙調査を実施した.調査期間は2016年6月から9月であった.プロダクティブ・アクティビティについては有償労働,家庭内無償労働,家庭外無償労働の3領域から捉え,諸要因との関連を分析した.分析の結果,プロダクティブ・アクティビティの有無は,年齢および性別,そして世帯形態などの基本的属性に大きく左右するものの,一般的自己効力感の高い回答者は,基本的属性においてはどの層にも一定数みられるなどの知見が見出された.本研究によって,高齢者は一般的自己効力感の程度の高まりによりプロダクティブ・アクティビティの実行率が増すことが示唆された.