2021 年 33 巻 1 号 p. 537-542
パレートフロント上の1点に対応する解が複数存在する問題として,マルチモーダル多目的最適化問題がある.進化型マルチモーダル多目的最適化アルゴリズムでは,パレートフロントとパレートセットへの高い近似性能の両立が求められる.しかし,多くのアルゴリズムはパレートフロントへの収束性を優先的に考慮しているため,パレートフロントへの近似性能に比べてパレートセットへの近似性能が低くなる.本研究では,パレートフロントとパレートセットへの高い近似性能を両立する分解ベースの進化型マルチモーダル多目的最適化アルゴリズムを提案する.提案手法では,スカラー化関数と決定変数空間上の多様性評価関数の2目的問題に変換して解を探索する.2目的問題への変換により,パレートフロントへ収束している解のみならず,決定変数空間上の多様な解が保持される.数値実験を通して,提案手法のパレートフロントとパレートセットへの高い近似性能を示す.