2021 年 33 巻 4 号 p. 757-767
本研究では,裸眼立体視ディスプレイを使用したバーチャルロボットヘッドと人間の対人距離の有効性と,視線推定について検討する.人間と同じような身体を持つ物理的なロボットが人間とコミュニケーションを行う際の問題点として,人を傷つける恐れがあるため接近動作ができず,常に適切な対人距離を維持できるとは限らないことが挙げられる.身体動作の欠点を克服するため,平面ディスプレイに表示されるオンスクリーンエージェントを使用することが検討されてきたが,これはモナリザ効果を発生させ,観察者が視点を変えてもエージェントから見つめられているように感じてしまう問題がある.本研究では,これらの問題を解決するため,裸眼立体視可能なディスプレイ上に,人型の3Dモデルを表示することによりバーチャルロボットヘッドを開発した.美術館見学のシナリオを用意し,25名の参加者に美術館案内エージェントからどの程度移動したいか尋ねた.また美術館案内エージェントが見つめる先を推定することを求めた.実験の結果から,バーチャルロボットヘッドと人の間に対人距離が適用されることがわかった.またバーチャルロボットヘッドに箱を被せ,観察者に身体を想起してもらうことにより,モナリザ効果が減少することがわかった.