2022 年 34 巻 3 号 p. 568-578
感情を扱う対話システムはユーザの満足度向上や肯定的なインタラクション増加の効果が認められており,人間に寄り添うデジタルパートナーとしての役割が期待されている.対話システムがユーザの感情を認識し,対話システム自身の感情を表現するためには,対話の文脈から適切な感情を選択する感情制御が不可欠である.本研究では,応答時の適切な感情を推定する感情制御を伴うテキスト応答生成フレームワークを提案する.提案手法はユーザの発話テキストにおける意味的文脈と感情的文脈を考慮することで応答時の適切な感情を推定し,感情表現を含んだ応答テキストをニューラルネットワークを用いて生成する.実験では,対話生成の品質に対する評価指標を用いた自動評価と,クラウドソーシングサイトを用いて集めた100人の被験者による人手評価を行い,提案手法の有効性を示した.