知能と情報
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原著論文
ファジィ区間データに基づく統計的モデルの近似的ベイズ選択
吉川 伸一
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2022 年 34 巻 3 号 p. 635-653

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抄録

近年,ベイズの理論は幅広い分野で活用されるようになってきている.IT分野では効率性の優れた検索ができるようにベイズの理論が利用され,電子メールの迷惑メールの振り分けにも,この理論が活かされている.ベイズの理論を主眼とする研究報告は多く,それらはベイズ的な統計的解析の枠組みを構成することを目的としている.本論文では,通常の確率空間から得られるファジィ区間データに基づく統計的モデルの近似的ベイズ選択手法を提案する.ただし,Zadehが提唱したファジィ事象の確率概念に基づき,定式化を進める.ファジィ区間とは区間の境界があいまいになっていることを意味する.ファジィ区間データはメンバシップ関数を用いて特徴づけられるが,これと確率密度関数との積に関する積分は計算上非常に複雑になるという難点がある.しかしながら,本論文で提案しているメンバシップ関数の中心値を代表値として用い,補正を施す手法ならばその問題をほぼ解決できる.ここでは,統計的モデルの選択として標準正規分布,正規分布,t分布,Gamma分布及びWeibull分布を対象としてモデル選択の手法を解析的に示している.さらに,提案手法を具体的に説明するために数値例を示している.ここでは,台形型メンバシップ関数が左右対称型ではなく,非対称な形状として得られる状況を設定し,提案手法が柔軟に対処できることを示している.その結果,本手法の有用性を示すことができた.

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© 2022 日本知能情報ファジィ学会
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