2022 年 34 巻 3 号 p. 654-662
本研究では,脳波と心電図を組み合わせた機械学習により,情動判別の精度が向上するかどうかを検証することを目的とした.実験参加者は健常成人16名とし,情動ストレス負荷として安静・不快の視聴覚刺激を呈示した後の180秒間の脳波と心電図を周波数解析した.脳波のβ帯域と心電図のLF,HF,LF/HFを算出した.その後,脳波と心電図それぞれ単体のデータセットと脳波と心電図を組み合わせたデータセットを用いたニューラルネットワークの精度を比較した.その結果,脳波と心電図を組み合わせたデータセットを用いたニューラルネットワークの正解率が79.51%を示し,他データセットの場合よりも高値を示した.このことから,安静と不快に対する情動反応は,脳および自律神経活動において異なると考えられ,両方の指標を組み合わせることで,より精度の高い判別を行うことができる可能性が示唆された.