2023 年 35 巻 1 号 p. 624-632
本論文では,橋本らによる対象の更新後の決定表から相対縮約を高速に獲得する手法の改良を試みる.橋本らの手法は,対象の追加による決定表の更新,対象の削除による決定表の更新,および対象の書き換えによる決定表の更新に対して,それぞれ相対縮約を高速に抽出する手法で構成されているが,これらの手法は決定表が無矛盾であることが暗黙的に仮定されており,矛盾を含む決定表からは,更新後の相対縮約を正しく抽出できない場合がある等の問題点があった.本論文ではこの問題点を解決することを目的に,決定表への対象の追加による矛盾データの発生,および対象の削除によるある矛盾データの無矛盾データへの変化に対応する機能を追加し,橋本らの手法を矛盾データ対応可能とするよう改良する.更に,計算機実験により提案手法の有用性を検証する.