2023 年 35 巻 1 号 p. 615-623
2021年現在,日本や先進諸国は高齢化が進展しており,高齢化の進展につれ認知症患者も増加している.認知症患者のうち一定の割合で,レビー小体型認知症(DLB)患者が存在し,DLBの中核症状に幻視がある.幻視は実際には存在しないものがリアリティを持って見えることで患者のパニックを引き起こす.本研究では患者の生活支援を目的とし,幻視の識別を支援するシステムを構築する.幻視識別支援システムは物体検出技術YOLO,視線計測器,視界カメラおよびフィードバック提示用LEDを使用する.視界カメラ画像の人物検出により検出された人物領域内に視線が一定時間以上存在した場合に,視線計測器に取り付けたLEDを点灯し被験者にフィードバックする.これにより被験者が人間を幻視があっても,フィードバックがなければ幻視だと識別できる.検証実験では話者3人による人物視実験を2種類おこない,99.2%の正常な動作結果を得た.