2023 年 35 巻 3 号 p. 720-730
自動運転技術の開発において,乗員が感じる不安を軽減させた車両制御が重要である.しかし,乗員が運転操作を行う必要がない完全自動運転状態では,乗員が不安や違和感を感じる走行状況が明らかになっていない.そこで,本研究ではVRシミュレータによって完全自動運転を再現し,乗員が不安や違和感を感じたときの介入操作のタイミングや操作量に着目して調査を行った.本稿では,危険回避イベントを対象として実験を行い,被験者は不安や違和感を感じたときに介入操作を行うことで意思表示をすることとした.得られたデータに対して,個人ごとの介入操作と手動運転時の操作に着目した分析を行った.実験を通して,被験者毎の操作特性と自動運転に対して感じる不安や違和感の特徴について議論を行う.