知能と情報
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35 巻, 3 号
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目次
巻頭言
挨 拶
特集: 「複数の資源を活用した言語処理」
解 説
書 評
用語解説
会告
学会から
編集後記
特集論文:複数の資源を活用した言語処理
原著論文
  • 花房 竜馬, 荒木 健治
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 3 号 p. 683-692
    発行日: 2023/08/15
    公開日: 2023/08/16
    ジャーナル フリー

    現在,スマートフォンやスマートスピーカーの普及によって人と対話エージェントとの対話は日常的に行われている.しかし,これらのデバイスに搭載されている対話エージェントは雑談システムとしての能力が不十分であり,人同士の対話と同等の面白さを感じることはできない.この問題を解決するためには,対話中の文脈情報を考慮した高度なユーモア処理を実現する必要がある.これまでの研究において,対話中の文脈情報を含むユーモアの面白さや文脈情報が面白さに与える影響については明らかにされていない.本論文では対話文脈を考慮した駄洒落の面白さを評価する標準データベースを構築するために,駄洒落を含む対話を収集し,12,000件の駄洒落が含まれる対話に対して対話の面白さを複数人で評価した.それに加えて,対話文脈による駄洒落の面白さの変化について分析を行った.

ショートノート
  • 根岸 龍, 酒井 浩之, 永並 健吾
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 3 号 p. 693-699
    発行日: 2023/08/15
    公開日: 2023/08/16
    ジャーナル フリー

    本研究では,日経平均市況概況記事を自動生成するための一環として,株価と決算短信から株式動向を表現する文を自動的に生成することを目的とする.本手法によって自動生成される株式動向を表現する文は,例えば「小売業,卸売業,建設業関連が上昇.機械,鉄鋼,電気機器関連が下落」のような文である.本手法では,株価と決算短信から株式市場の動向,株価の変動要因となる事業,製品,社会背景等を投資テーマとして抽出する.具体的には,株価データから大きく変動した企業群を抽出し,各企業の決算短信から抽出したキーワードを基に,企業群をクラスタリングして絞り込みを行う.次に,絞り込みを行った企業群の各キーワードから投資テーマを推定し,推定された投資テーマを基に株式動向を表現する文の自動生成を行う.また,生成した株式動向を表現する文を用いて,日経平均市況概況記事の生成を試みる.

  • 乙武 北斗, 高丸 圭一, 内田 ゆず, 木村 泰知
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 3 号 p. 700-705
    発行日: 2023/08/15
    公開日: 2023/08/16
    ジャーナル フリー

    議会会議録には議会におけるすべての発言が記録されている.議会会議録の発言内容に基づき,議会における議員の取り組みや政治的態度を明らかにする研究が進められている.従来の研究ではTF-IDFなどの単語ベースの方法が用いられており,複数単語のフレーズや文脈を考慮する表現力に欠けていた.本論文では,会議録中の各発言の発言者を推定するBERTベースの分類器とSHAPを用いて算出されるトークン単位の分類貢献度を利用し,発言文から文節単位で政治的関心を含む特徴的な表現を抽出する手法,およびその結果の分析について述べる.文節単位で係り受け関係も考慮することで,抽出された表現の文脈を提示できる.分析の結果,本手法はTF-IDFと比較して発言者の政治的関心が見受けられる特徴的な表現を多く抽出できることを確認した.また,TF-IDFでは抽出が困難な,発言者の独特の言葉遣いを抽出できることを確認した.

一般論文
原著論文
  • 鈴木 公啓, 野村 竜也
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 3 号 p. 706-711
    発行日: 2023/08/15
    公開日: 2023/08/16
    ジャーナル フリー

    本研究は,職種毎の対人コミュニケーション場面におけるジェンダーロボット選好について明らかにすることを目的としておこなった.また,ジェンダー選好において,性役割平等志向性が関連しているかについても検討をおこなった.成人男女1000名を対象に検討をおこなった.その結果,人間,アンドロイド型ロボット,そして機械型ロボットのいずれにおいても,そしてどの職種であっても,コミュニケーション相手として性別がどちらでもかまわないとする者が多いことが示された.ロボットを日常生活に導入する際には必ずしも性別を付与しないで良いことが示唆される.また,ロボットの側を特定のジェンダーに設定してもそれはステレオタイプの再生産とならない可能性が考えられた.

  • 呂 朋飛, 榮坂 俊雄
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 3 号 p. 712-719
    発行日: 2023/08/15
    公開日: 2023/08/16
    ジャーナル フリー

    e-Learningは教室からの解放や学習の多様化などの優れた特徴を持つ一方,インタラクションの受動性,単調性が学習動機の持続を困難にしている.近年,日常生活で人を支援するソーシャルロボットが注目されており,学習者とインタラクションを行う教育支援ロボットも開発されている.これまでの教育支援ロボットの多くは幼児または初等教育を対象とし,個別の教育システムにおいて教育内容に依存した支援を行うものであった.本研究は中・高等教育を対象とし,既存のe-Learningに導入して学習動機付けを行う汎用的教育支援ロボットを提案する.さらに具体的なシステムを構築し,2ヶ月間の実践を通じて単純なジェスチャを行う簡易的ロボットがe-Learningの学習効果を向上させることを検証した.

  • 南部 駿太, 増田 寛之, 布施 陽太郎, 澤井 圭, 本吉 達郎, 高木 昇
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 3 号 p. 720-730
    発行日: 2023/08/15
    公開日: 2023/08/16
    ジャーナル フリー

    自動運転技術の開発において,乗員が感じる不安を軽減させた車両制御が重要である.しかし,乗員が運転操作を行う必要がない完全自動運転状態では,乗員が不安や違和感を感じる走行状況が明らかになっていない.そこで,本研究ではVRシミュレータによって完全自動運転を再現し,乗員が不安や違和感を感じたときの介入操作のタイミングや操作量に着目して調査を行った.本稿では,危険回避イベントを対象として実験を行い,被験者は不安や違和感を感じたときに介入操作を行うことで意思表示をすることとした.得られたデータに対して,個人ごとの介入操作と手動運転時の操作に着目した分析を行った.実験を通して,被験者毎の操作特性と自動運転に対して感じる不安や違和感の特徴について議論を行う.

ショートノート
  • 宮本 友樹, 山本 隆太郎, 片上 大輔
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 3 号 p. 731-735
    発行日: 2023/08/15
    公開日: 2023/08/16
    ジャーナル フリー

    本研究では,対話型擬人化エージェントの受容性について,日米比較の観点で議論する.具体的に,「調査1:社会に進出するロボットとの対話に関する受容性のオンライン調査」および「調査2:対話型擬人化エージェントとの対話を想定した言語的配慮の印象評価」を実施する.調査1では,固有の擬人化エージェントを指定せず,社会に参画するロボット全体に対して抱いている否定的態度と不安印象を評価する.調査2では,対話型擬人化エージェントと対話する想定の動画を実験参加者に視聴してもらい,その印象を評価する.これらの調査の結果,アメリカ人参加者は擬人化エージェント全体に対する否定的態度や不安な印象が日本人参加者より強い傾向にあったが,その一方で擬人化エージェントと疑似的な対話を行なうシチュエーションにおいてアメリカ人参加者に対する受容性を日本人参加者よりも高めることが可能であることが示唆された.

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