2024 年 36 巻 1 号 p. 555-559
のと鉄道のと里山里海号は,世界農業遺産「能登の里山里海」を走る土日祝に運行している観光を目的とした列車である.旅行会社と連携した団体旅行客の利用と比較し,個人利用客の利用数は年々減少傾向にあり,個人客に向けた情報発信が課題になっている.これまで,パンフレットや動画などによるプロモーションを実施しているものの十分な効果を得られておらず,より臨場感があり,記憶に残る情報発信手段を検討する必要がある.そこで本研究では,乗車の疑似体験による観光意欲の向上を目的としたVRシステムを開発した.本システムの評価では,利用者の記憶に残る情報提供手段のひとつとなり,観光列車の利用意向の向上に寄与する可能性が示唆された.