パーソナルファイナンス研究
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査読付論文
改正貸金業法が日本のGDPと雇用に与えた効果
特定産業の波及効果分析を用いて
加藤 晃
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2018 年 5 巻 p. 37-47

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抄録

本稿の目的は、改正貸金業法が日本のGDPや雇用に与える効果を、産業連関分析(均衡産出高モデル、特定産業の波及効果分析)を用いて分析することである。

加藤・飯田「改正貸金業法と日本GDP」『パーソナルファイナンス学会年報』No.11、2010年では産業連関分析(均衡産出高モデル、特定需要(支出)の波及効果分析)を用いて、改正貸金業法が日本のGDPや雇用に与える効果を分析した。法改正によって、貸し付け、融資、借り入れ額が大きく減少し、消費が減少したと考えられる。そこで、消費の減少の代理変数として貸し付けの減少を用い、分析した。しかし、減少効果の大きさについて、過大である可能性がある。

そこで本稿では、法改正によって、貸金業者数が激減したという事実に注目して、貸金業の生産額の減少を求め、特定産業の波及効果分析を使って、効果の分析を試みた。消費者向け貸金業に対する主として上限金利規制が名目GDP成長率に与えた効果は、2006年~2011年でマイナス0.252%であった。また雇用に与えた効果については、2006年~2011年で112767人の減少であった。

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© 2018 パーソナルファイナンス学会
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