2025 年 37 巻 4 号 p. 708-716
患者に対する侵襲的な検査を非侵襲なものに代理させる医療用Convolutional Neural Networks(CNNs)を構築する場合,侵襲的な検査によって得られたデータが教師データとなる.このことから,限定的な教師データサイズで構築された医療用CNNがある状況下において,むやみに教師データの不足を指摘することは望ましくなく,性能の改善が見込める場合にのみ,教師データの収集を検討すべきである.そのため本研究では,既存研究で構築された医療用CNNに対し,教師データを集めるべきかどうか検証する.具体的には,心不全のリスクスコアである肺動脈楔入圧を胸部X線画像から推定するモデル構築のためのデータセットを用い,データサイズを増やしながらCNNを構築し,汎化性能と顕著性マップの変動を観察した.その結果,教師データサイズに対する汎化性能が収束域に到達していないこと,少数の教師データにより構築されたCNNは心臓全体を見ているのに対し,多数の教師データにより構築されたCNNは心不全と関連する部位のみを集中して見ることが確認された.このことから,この事例においては,教師データを増大させることで,汎化性能と顕著性マップの改善が期待される.