日本口腔インプラント学会誌
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特集
中性フッ化物の応用がインプラント周囲炎を増悪させる可能性
吉成 正雄
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2017 年 30 巻 3 号 p. 182-190

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抄録

中性フッ化物の応用がチタンインプラントの耐食性に与える影響およびインプラント周囲炎を増悪させる可能性について検討した結果,以下が明らかとなった.①チタンイオンの溶出を引き起こす因子はフッ化物以外にも様々あり,インプラント周囲炎=フッ化物と一義的に限定するのには無理がある.②酸性(pH低)のフッ化物のみがチタンを腐食する.③歯肉縁下および縁上において,持続的なpH低下を支持するエビデンスはない.④急性炎症により生ずるpHの低下はほとんどない.⑤歯肉縁下において溶存酸素濃度が低下してもpHは低下せず腐食の危険性は少ない.⑥チタンへのフッ化物の応用は,抗菌性の付与など,積極的一面も存在する.以上より,中性フッ素化物の応用がチタンを腐食させる可能性が少ないことから,中性フッ化物の応用がインプラント周囲炎を増悪させる可能性はきわめて少ない.

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© 2017 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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