2017 年 30 巻 4 号 p. 268-277
歯科治療時に高齢者や基礎疾患を有する患者への対応も必要となっている今日において,加齢に伴う身体の変化や基礎疾患の病態を知ることは安全な治療を提供するために重要である.歯科インプラントは生体の内部に用いられる医療用材料であるため,生体が応答することによって維持されていることを忘れてはならない.その応答は各個人によっても異なり,さらには同一個人でも加齢によっても変化することはいうまでもない.また,貧血や自己免疫疾患,アレルギー疾患,動脈硬化,糖尿病,骨代謝障害,肝機能障害,腎機能障害といった歯科インプラント治療あるいは歯科治療時に頻繁に遭遇する疾患についても知識を整理しておく必要がある.