日本口腔インプラント学会誌
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原著(基礎研究)
アバットメントの緩みがインプラントカラー部のひずみに及ぼす影響
関矢 泰樹遠藤 輝久伊藤 聖高橋 究理秋本 和宏伊藤 賢中村 正和伊藤 充雄
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2018 年 31 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

インプラント治療においてアバットメントが緩むことは,アバットメントとインプラント体の破折や骨吸収に影響する重要な因子であると考えられる.したがって,本研究はアバットメントをインプラント体に20Ncmで嵌合させた状態を緩みのない試験体とし,アバットメントの緩みは角度によって設定を行い,90°(1/4回転),180°(1/2回転),360°(1回転)とした.緩みを設定した各試験体は万能試験機にセットし,清涼菓子が破断するまでの荷重とインプラントカラー部に生じるひずみはひずみゲージを用いて測定し,アバットメントの緩みとインプラントカラー部のひずみの関係について検討を行った.また,アバットメントの緩みとインプラントの最大曲げ荷重およびたわみの関係についても検討を行った.

その結果,以下の結論が得られた.各アバットメントの緩みと清涼菓子の破断荷重には有意差が認められず85.1±4.0Nであった.清涼菓子が破断するときの1/2回転と1回転緩ませた試験体のカラー部に生じるひずみは0.1%以上であった.この測定値は骨の吸収の危険性が示唆された.また,アバットメントが緩んだ状態の試験体のカラー部のひずみは20Ncmで嵌合した試験体の200Nから300Nの荷重負荷時のひずみと同様の値であった.緩みが1回転の試験体の最大曲げ荷重とたわみは緩みのない試験体と比較して約23%減少した.上部構造を装着後は定期的にアバットメントの緩みが生じていないかを精査することが必要であると考えられた.

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© 2018 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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