日本口腔インプラント学会誌
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症例報告
薬剤関連顎骨壊死の術後に腓骨皮弁および歯科インプラントにより機能的再建を行った1例
寺本 祐二上原 忍安永 能周吉村 伸彦西牧 史洋相澤 仁志小山 吉人鈴木 大介髙本 愛高見澤 一伸山田 慎一栗田 浩
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2018 年 31 巻 2 号 p. 162-169

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抄録

薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)は,ひとたび発症するとその治療には難渋し,患者は苦痛と重篤な機能障害を伴う.今回われわれは,下顎骨広範囲に発生したMRONJに対して外科的切除および顎骨再建を行い,さらに歯科インプラントによる咬合再建にて良好な結果を得ることができた1例を報告する.

患者は73歳の女性.現病歴として2011年3月,近歯科医院にて34の歯周炎の診断の下,抜歯術が施行された.同年10月,同抜歯窩の疼痛を自覚して治療医を受診したところ,当科紹介来院となった.既往歴に右乳癌で乳腺切除術,リンパ節郭清術,化学療法としてドセタキセル水和物,ゾレドロン酸水和物の静脈投与,カペシタビンの内服投与を受けた.急速に広がっている骨壊死範囲の所見から保存的加療は困難と判断し,外科的治療を計画した.2012年7月に下顎骨区域切除,血管柄付き腓骨皮弁による顎骨再建を施行し,術後の経過は良好で,2013年5月に歯科インプラント埋入術を施行した.その後,二次手術と口腔前庭拡張術を施行し,2014年12月に可撤式の上部構造を装着し,患者の高い満足を得ることができた.

今回,MRONJに対して外科的治療を選択し,歯科インプラントで咬合を再建する有用性が示唆された.

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© 2018 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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