日本口腔インプラント学会誌
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原著
インプラントの傾斜角度がカラー部のひずみに及ぼす影響
岩田 雅裕松田 健男臼井 龍一秋本 清河野 恭範植木 普村上 智伊藤 充雄
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2018 年 31 巻 4 号 p. 320-329

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抄録

本研究は,インプラントを埋入する角度によってインプラントの最大曲げ荷重とカラー部のひずみがどのように影響されるのかについて検討を行った.インプラントは2ピース型で,インプラント体とアバットメントは同種で組み合わせを行った.JIS 2種純チタンを加工硬化した材料はGWGW,JIS 4種純チタンはG4G4そしてチタン合金はG5G5と表示した.カラー部にストレインゲージを貼付け,10°,20°と30°に傾斜させ万能試験機を用い,それぞれのインプラントの最大曲げ荷重とカラー部のひずみの測定を行った.また,測定前後のインプラントの内部についてエックス線CTを用いて観察を行った.その結果を以下に示す.

GWGW,G4G4とG5G5のそれぞれの最大曲げ荷重は傾斜角度10°が最も大きく,傾斜角度20°におけるGWGWの最大曲げ荷重は10°と比較して58.5%,G4G4は60.9%そしてG5G5は60%減少した.傾斜角度30°におけるGWGWの最大曲げ荷重は傾斜角度10°と比較して75.8%,G4G4は78.2%そしてG5G5は76%の減少を示した.各インプラントの最大曲げ荷重は傾斜角度が増加するにしたがって減少した.荷重300Nを負荷した傾斜角度30°のG5G5を除いたすべてと荷重400Nの10°,20°そして荷重500Nおよび600Nの10°におけるGWGW,G4G4とG5G5のカラー部のひずみは0.10%以下であった.しかしながら,傾斜角度30°における荷重400N以上での各インプラントのひずみは0.1%以上であり,GWGWのひずみが最も大きい結果であった.CTで観察した最大曲げ荷重の測定前のインプラントの上部におけるインプラント体とアバットメントは隙間なく嵌合していたが,下部においては隙間が観察された.測定後,ねじの破折は隙間が存在する部分で生じていた.アバットメントが破折していない場合はアバットメントが塑性変形し,ところどころに亀裂が観察された.傾斜角度20°以上で植立する場合はインプラントカラー部の強度が大きいことが必要であると考えられた.

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© 2018 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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