日本口腔インプラント学会誌
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原著
フルアーチインプラントケースにおける口腔内スキャナーを用いた光学印象法の三次元的精度の検討
村上 高宏田中 譲治小林 平菅野 岳志上里 ちひろ坂倉 美和子木村 健二
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2018 年 31 巻 4 号 p. 338-345

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抄録

近年,インプラント補綴におけるデジタル技術は大きく進歩しており,口腔内スキャナーを用いた光学印象法に注目が集まっている.しかし,フルアーチインプラントケースにおけるインプラント位置再現性についてはいまだ不明な点が多い.そこで本研究の目的は,16,14,12,22,24,26相当部に6本のインプラント体を埋入した上顎無歯顎模型(マスターモデル)を用いて,口腔内スキャナーを用いた光学印象法と従来のシリコーン印象材を用いた印象法のデータを取得し,三次元解析ソフトにて比較検討した.まず,マスターモデルにスキャンボディを装着し,基本データを取得した.その後,メーカー推奨の光学印象を行った場合(IOS1)と,スキャニング過程を省略して光学印象した場合(IOS2)でデータを取得した.つぎに,マスターモデルの印象採得をオープントレー法にて行い,通法の一回で石膏を注入した場合(IMP1)と,ストローを用いて2回で石膏を注入した場合(IMP2)で作業模型を製作し,データを取得した.データ解析は基本データとIOS1,IOS2,IMP1,IMP2をソフトウェアにて重ね合わせ,適合率とカラーマッピング像にて評価を行った.その結果,各印象法における6本のスキャンボディの適合率はIOS1,IMP1,IMP2において統計学的な有意差を認めなかった.以上より,口腔内スキャナーを用いた光学印象法とシリコーン印象材を用いた印象法のインプラント位置再現性は同等であることが示唆された.

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© 2018 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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