2019 年 32 巻 1 号 p. 5-13
歯科インプラントが臨床応用されてから54 年が経過し,欠損歯の補綴治療として良好な予後が獲得される治療法として周知されてきた.一方,世界の中で最高水準である日本国民の高齢化にとって,口腔機能の維持は,健康へ与える影響も考慮されて重要事項となってきている.そのため,高齢患者が欠損歯補綴治療として歯科インプラント治療を希望することが多くなってきた.高齢者は高齢期以前と比較すると生体機能の老化が進み,特に口腔機能の老化は歯科治療においてさまざまに問題となることが多い.歯科医師は高齢者の歯科インプラント治療を行う上で,必要不可欠な外科的・補綴的対応を行っていくべきである.
また,高齢期以前に歯科インプラント治療を行った患者が,いずれ高齢者になっていることも必然的なことである.そこで,歯科インプラント治療を行う上で,口腔内の経年的変化にも対応できるように補綴治療およびインプラント周囲組織への対応を考慮していかなければならない.