2019 年 32 巻 3 号 p. 210-216
さまざまな幹細胞を用いた治療法および再生医療が臨床試験に乗り出している.それにもかかわらず,歯科診療においてのそれらの応用はまだ黎明期にあるように思われる.莫大な費用,装置,煩雑で負担の大きい作業,そして長い時間など,複雑で重労働からなる細胞培養システムのインフラストラクチャーは,細胞を用いた治療法のさらなる進歩を妨げている.本稿は細胞培養システムの基盤とそれらの問題を概説した.さらに,われわれは最近,植物由来物質(緑茶から単離されたカテキン)と水中化学合成法を使った新しい骨再生・細胞播種用材料を開発した.この材料は,コストおよび環境問題において利点を有する.本稿では,作製した没食子酸エピガロカテキンガレート結合ゼラチンスポンジの機能を紹介した.